第八回 春燈会


【日時】2022年3月26日(土)16:00開演/19:00終演予定
【場所】福傳寺
【チケット】
現地観覧チケット(解説冊子・お花見弁当付き)一般8,000円 壇信徒7,000円
オンラインチケット 4,000円
ご予約はこちらからお願いいたします。

【ご案内】
第一部
法話
法要「遺教会」
東光寺住職・福傳寺副住職 原祥壽
他 真言宗智山派青年僧

(休憩20分)

第二部
能「百萬」
解説 武田崇史

シテ (百萬)   武田祥照
ワキ (都方の者) 大日方寛
子方(百萬の子)武田智継
間狂言 (清涼寺門前の者)  山本則孝

笛   杉信太朗
小鼓  田邊恭資
大鼓  亀井洋佑
太鼓  林雄一郎

後見
武田尚浩
山階彌右衛門

地謡
武田崇史
武田文志
松本千俊
佐川勝貴


遺教会(ゆいきょうえ)

お釈迦様がご自身の最期にご遺言として遺されたお経『遺教経(仏垂般涅槃略説教誡経)』を読誦する法会を「遺教会」といい、特に真言宗智山派大報恩寺(千本釈迦堂)で行われる「遺教会」は有名で、吉田兼好の『徒然草』にも「千本の釈迦念仏」として記されております。 「遺教会」では「釈迦念仏」も唱えられ、お釈迦様への強い追慕の念を音楽性豊かに表現致します。「釈迦念仏」は能「百萬」においても狂言が「釈迦念仏」をもどくなど、能「百萬」の背景として「釈迦念仏」は大切な要素となっております。 “本物”の「釈迦念仏」が唱えられる「遺教会」と“モドキ”の「釈迦念仏」が登場する能「百萬」が同時に上演されることは恐らく史上初ではないかと思います。 「遺教会」はお釈迦様への追慕、能「百萬」は生き別れた子どもへの思慕が大きなテーマです。大切な誰かを想う、強く切ない情を感じて頂ければと存じます。

百萬(ひゃくまん)

都方の者は奈良の西大寺で捨てられた子供を保護し、共に大念仏を行うという京都の嵯峨・清凉寺を訪れます。そこで門前の者より清凉寺では百萬という芸能者が評判であると聞き、呼び出すことにします。 百萬は「南無阿弥陀仏」と謡いながら舞っていると、幼子は自分の母親ではないかと気づき、都方の者に話します。都方の者が話しかけると、百万は夫と死別し、忘れ形見の我が子とも生き別れになってしまい、我が子を捜し歩くために芸能者となってと各地を巡っていると述べ、清凉寺のご本尊・阿弥陀仏の来歴を語り、舞います。 都方の者は百万と幼子と引き合わせ、百万は再会を喜び、ともに故郷へと帰ります。 この曲は古くは「嵯峨の大念仏の能」という名前で、世阿弥の伝書類にも登場し、観阿弥が駿河で客死する直前に浅間神社で舞ったと言います。 春の都の華やかな中で、母が子を尋ねて舞をまう本曲の風情は春燈会にふさわしいもので、今回シテの祥照は自身の長男・智継(さとつぐ)と初めての親子共演になります。